給料ファクタリングは違法になることはある?
来月の給料を受け取る権利を売却し、すぐに現金が手に入るならやってみたいと思う気持ちがあっても、違法ではないのかと心配になってしまう人もいるでしょう。給料ファクタリングは一般的に使われている資金調達の方法ではないので心配になるのはもっともなことです。実態としては違法になってしまうようなことはあるのでしょうか。
給料ファクタリングの性質を知っておこう
合法かどうかを考えるうえで理解しておく必要があるのが取引の性質に関する国の見解です。給料ファクタリングは国の見解によって貸金業として位置付けられるようになりました。個人が給料を受け取れる権利を債権としてファクタリングに使用するのはお金を借りて次の給料日に返済するのと同じだという見解が発表されたのです。
日本ファクタリング協会が国に対して意見を求めた結果として出された見解です。個人による給料債権を使うファクタリングは債権譲渡の取引とは見なされないということになり、通常の売掛債権の譲渡によるファクタリングとは違う考え方をしなければならなくなったのです。
雇用されて働いている個人の場合には確かに収入の基本は給料なので、お金を借りたときには給料から返済するという形なのは当然でしょう。
そう考えると給料を受け取れる権利を売却する行ためを貸金業の業務と区別するのは困難です。二社間ファクタリングをしているときには、お金の動きも給料を受け取った被雇用者がファクタリング業者にお金を渡すという形になります。このため、給料ファクタリングは貸金だという理解をすることが必要になっています。
貸金業として考えると違法になることがある
給料に関する債権を使ったファクタリングが違法になるケースとして、ファクタリング業者が貸金業者ではなかったときが挙げられます。貸金業者ではないのにお金を貸して多額の利子を得ているのはいわゆる闇金です。ファクタリング業者も貸金業者として登録していないと同じ扱いになってしまいます。
政府が見解を出す以前は一般的な売掛債権を利用するファクタリングと同じ性質のものだと考えられていました。そのため、当然ながらファクタリング業者は貸金業者としての登録をせずに営業していたので、ファクタリングを利用していた人たちから訴えられることすらありました。
貸金の場合には仮にファクタリング業者が貸金業者として登録していたとしても総量規制を受けます。年収の1/3以上は貸してはならないなどといった点を無視するような金額を渡していたらファクタリング業者は違反になってしまうのです。
さらに、金利についても上限が定められていて、年利20%を超えることはできません。ファクタリングの手数料の内訳を見たときに金利に相当する業者の利益分が年利20%を超えているようなら過払い金が発生していることになります。それを取り返そうという考え方で訴訟を起こしている事例もあるのが実態です。取引先次第では不利益を被ることになり、過払い金を取り戻すために多大な労力がかかってしまうことは念頭に置いておきましょう。
三社間ファクタリングは違法になる
給料ファクタリングは二社間ファクタリングをすることが多くなっています。売掛債権のファクタリングでも二社間ファクタリングがよく行われるようになっていますが、手数料が高いことも考慮して三社間ファクタリングを選びたいというケースもしばしばあります。
ただ、給料ファクタリングの場合には三社間ファクタリングは違法になってしまうので注意が必要です。この事実も政府による見解が発表されたことによって共通見解となりました。三社間ファクタリングの場合には労働基準法に違反してしまうのです。
給料は労働基準法によって雇用主が労働者に直接現金で渡さなければならないことが定められています。二社間ファクタリングにしたときの現金の動きは雇用主から労働者に給料が支払われ、その現金をファクタリング業者に労働者が支払う形になるので問題がありません。
しかし、三社間ファクタリングの場合には債権を持っているファクタリング業者が雇用主から直接現金を受け取る形になってしまいます。そのため、雇用主が労働基準法違反となってしまうのです。三社間ファクタリングを勧めてくるようなファクタリング業者がいた場合には詐欺かもしれないので気を付けましょう。
個人が利用する給料ファクタリングは政府の見解によって貸金業として考えられるようになりました。そのため、ファクタリング業者が貸金業者として登録し、かつ利息制限法によって定められている金利の上限や総量規制などを守っていないと違法になってしまいます。
また、三社間ファクタリングは給料を雇用主が労働者に直接現金で支払わなければならないと定めている労働基準法の違反になります。この二点が現状としては給料ファクタリングを利用するときに違法行ためとして摘発されてしまうリスクがある点なので、ファクタリング業者を選ぶときには気を付けましょう。