利用先は慎重に検討したい「ファクタリング」の安全性は?
東京で中小事業主の皆さんにとって、売り掛け先債権を期日前に現金化することが出来るファクタリングは非常に魅力的な選択肢です。
ただし日本ではサービスが紹介されて30年前後と日が浅いので法律整備などが遅れているのが実態と言えます。
取引を開始するにあたっては、悪徳事業者にひっかかることなく安全な業者を選ぶ視点を持つことが重要です。
もくじ
資金繰りが苦しい時に銀行は頼りにならない
ファクタリングとは取引先に対して有する売掛金債権を売却して、現金を得るというものです。
東京で製造業や建設業などを営んでいる場合、請け負った仕事が完了しても、代金が支払われるのは一ヶ月程度先になるのは珍しいことではありません。
潤沢なキャッシュフローがあれば、このような「入金サイト」は問題視することはないでしょう。
しかし中小企業においては、売掛金が入金する次第運転資金に充当しているような環境での経営を余儀なくされている場合も珍しくないので、入金サイトが長期化することは処理を誤ると経営危機に直面する可能性も否定できません。
運転資金に余裕が無いときに、取引のある銀行などの金融機関からの融資を受けることが出来ればベターです。
ですが融資のためには審査を通過しなければならず、ある程度の時間を必要とします。
しかも資金繰りが悪化するような状況にあるときは、貸借対照表も債務などの肥大化していることがしばしばで融資を受けることが出来るのかは、かなりシビアな局面を迎えていると考えて間違いないでしょう。
いざというときに金融機関は頼りにならない場合も少なく無いのです。
ファクタリングが法律で認められているのか
法律的には債権を売買する行為に該当しますが、東京ほどの経済活動が活発なエリアでもサービスが提供されて以来、融資などに比較するとまだまだ目新しいサービスです。
そこでファクタリングを行うことは法律的に問題はないのでしょうか。
ファクタリングサービス自体は、金融庁などの行政機関からも有効性を認められているサービスなので、一部の悪徳業者を除外すれば法律的な問題はクリアされています。
ただし一つだけ注意することは、この方法は融資ではないということです。
融資に当たらないので金融業にも該当しないことになります。
金融業であれば金融庁の許認可を得る必要があり、利息制限法や出資法などの法律の規制に従うことにもなります。
しかるにファクタリングは現金が介在するサービスでありながら、金融庁などの監督を受けることにはならないので高額な手数料が設定されている場合もあります。
債権の買取価格は取引先の信用性や、リスクなども考慮されて決定されることにはなります。
しかしそのような事情を考慮しても、手数料名目で高額な金額が天引きされる場合があることは肝に銘じておくべきです。
ファクタリングなら不渡りの心配が無い
手数料が控除されるものの、ファクタリングには幾つかのメリットがあります。
まず法律行為の実態が債権の売買になるので、貸借対照表上では売掛金という資産の項目が減少するだけで、融資ではないために負債の部分が増加することにはなりません。
審査の対象も売り掛け先の信用が中心になるので、赤字経営や税金滞納などがあっても、審査は迅速に通過することも可能です。
また類似した取引には手形割引というものがあります。
手形割引とは受け取った約束手形を、手数料分の金額を控除した額で売買するというものです。
約束手形も債権を表象しているので、ファクタリングとはあまり違いがないようにも見えます。
しかし約束手形では支払い提示を受けた振り出し人が現金を支払えなかった場合、裏書譲渡して前者が弁済責任を負うことになります。
つまり不渡り手形がでると、保証責任を追及されることになる訳です。
これに対してファクタリングは債権を売買するだけなので、取引先が倒産したりして回収不能の状態になっても支払責任を追及されることはありません。
従って手形割引に比べると、償還請求を受けることがないので安全性が高いといえます。
利用の事実を知られたくないなら2社間取引をする
ファクタリングの基本は3者間取引になります。
売り掛け先の相手方にとっては、だれが債権者であるのかについて重大な利害関係をもっているからです。
誰が正しい権利者なのかが判明しなければ二重弁済をするリスクを負担することになります。
そのような事情があるので、売り掛け先の相手方の承認を得ることが原則になります。
しかし相手方の承認を得ることにはリスクを伴います。
売り掛け先との力関係によっては、信用不安が生じたと判断されて契約関係の解消に繋がるリスクも想定されるからです。
このような事態を防止するために考案されたのが、2社間取引です。
この方法では相手方の承認を得る必要はありません。
とはいえこの形態では利用会社を経由して、手数料相当額の金銭を入手することになるので、他の費目に充当されるリスクに直面することになります。
税金の滞納が長期化しているようなら、税務署から差し押さえを受けるかもしれません。
このようなリスクが意識されて手数料が高く設定されているのが一般的です。
3社間では2-5%程度が相場ですが、2社間では10-20%と手数料の相場が跳ね上がります。
闇金業者の債権担保付融資には御注意
ファクタリング業者のなかには、金融業のような厳しい規制や、行政による監督がゆるいことから闇金業者などが鞍替えして参入していることもあるのは事実です。
利息制限法や出資法の規制を受けないことを隠れみのにして、高額の手数料を設定している場合があります。
また特に注意が必要なのが、いつの間にやら債権担保付融資に取引が切り替わっている場合です。
本来であれば、債権の売買に過ぎないので手数料を支払って、現金を入手できればそれですべては完了するはずです。
闇金業者にとっては、これではうまみが少ないので類似した債権担保付融資を持ちかけてくるわけです。
この融資では債権の帰属は変わってしまうのは同じですが、あくまで債権を担保にとってお金を「貸し付けている」ので完済するまで利息の支払いが必要になります。
しかも売り掛け先が倒産すれば、その分の支払いも請求されることになり非常に危険性がたかくなります。
その上闇金業者では、利息制限法や出資法の上限を大きく越えた高金利を設定しています。
厳にその点が問題視されて、警察に逮捕された業者もいるほどです。
ファクタリング業者を安全に利用するには
ファクタリングは優良業者を利用すれば経営上も有用性が高いわけですが、一部に闇金出身の悪徳業者が暗躍しているのも事実です。
悪徳業者を利用したことが露見すれば信用が毀損されることになります。
そこで安全に利用するための注意点を最後に御紹介しましょう。
まず手数料ですが2者間などの場合でも、上限は20%程度と心がけるべきです。
この数値の根拠は利息制限法です。
東京でファクタリングを利用するのは融資と同じ感覚で利用する経営者の方も、多いと想定されます。
仮に融資と考えた時の上限を利息制限法とすれば10-20%ほどの手数料額が上限と結論付けることが出来ます。
不動産担保ローンに比較すれば割高の感は否めませんが、不動産と売掛先債権の担保価値や換金性の高さをふまえれば、ある程度の手数料はやむを得ないでしょう。
しかし30%を越えるような手数料を設定しているようなら避けるのが無難です。
そして本店の所在が曖昧であったり、固定電話がなく携帯での対応が中心のような業者も信用性に疑問符が付きます。
ホームページなどの会社概要などでリアルな本社や営業実績などが公開されているかなど、BtoBの場面では基本の確認も怠らないことが大切です。